インドア女子のスペイン生活

都内国立大学を卒業後、就職。2022年7月からスペインに赴任。趣味(読書や漫画)、勉強法、メンタルなどの雑記ブログ。

『プーと大人になった僕』レビュー ~子どもだった大人たちへ~

プーと大人になった僕』感想(ネタバレなし)

9月に公開されてから、ずっと観たいと思っていた『プーと大人になった僕』をやっと観てきました!久しぶりに2時間があっという間に過ぎ、じわじわと泣かされた映画でした。

直接的なネタバレはありませんが、映画の主題やメッセージには触れることになるので、その点はご了承ください。

 

目次

  • ストーリー
  • 大人になるということ
  •  「何もしないこと」が最高の何かに繋がる

  • 永遠の子ども心とは

ストーリー

ディズニーキャラクターとして有名な「くまのプーさん」。プーは人間の男の子、クリストファー・ロビンピグレットなどの仲間たちといつも一緒。みんなは「100エーカーの森」で愉快な毎日を過ごしていました。

プーと大人になった僕』は、プーと別れ、大人になったクリストファー・ロビンのもとにプーが再び現れて…というお話。

舞台は第二次世界大戦後のロンドン。主演はスターウォーズシリーズでオビワン=ケノービを演じたユアン・マクレガーです。スターウォーズシリーズからは15年ほどの月日が経っていますが、ユアンは相変わらずカッコいい…!

 


「プーと大人になった僕」MovieNEX 予告編

以下では、『プーと大人になった僕』を観て感じたことをテーマ別に書いていきます。

 

大人になるということ

皆さんは子どもの頃、早く大人になりたいと思っていましたか?

大人になったら、仕事をしてお金を稼ぐことができるし、大人に小言を言われることもない。けれど、「大人」って毎日仕事に追われて、満員電車に揺られて、難しい顔をして…そんなイメージもあるのではないでしょうか(もちろん素敵な大人はたくさんいますよ!)

わたしは子どもの頃、自分が「大人」になるということがあまり想像できませんでした。10代を終えた今も「100%大人になってしまうのはイヤだな」と思う自分がいます。『プーと大人になった僕』のクリストファーも少年時代は、大人になることに抵抗を覚えていたようです。

 

けれど、社会で生きている以上、ある程度は「大人」になることを強要されるのが事実です。そして大人になることは少なからず痛みを伴います

行動に責任が生じて、知らず知らずのうちに自分の行動にも制限がかかっていく。そして、行動に制限がかかる=自由な心に制限がかかるということでもあると思うのです。大人になってできることが増える反面、子どもの頃は当たり前に感じられていたことが感じられなくなるのです。

 

クリストファーもプーと再会するまでは、100エーカーの森のことも、プーと語り合ったことも忘れてしまっていました。心や感性というものは、自分が想像する以上に早く固まってしまうもの。だからこそ、大人は心を干からびさせないように、積極的に感性を潤す必要があるのだと感じました。映画や読書はそのために有効な手段ですよね。

「何もしないこと」が最高の何かに繋がる

何か素敵なものを得るためには何らかのアクションを起こさなければならない。

そう思っていませんか?しかし、『プーと大人になった僕』の主題は「何もしないこと」が最高の何かに繋がるということ。これは子どもの頃のクリストファー・ロビンがプーに伝えた言葉です。

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大人にとって「何もしないこと」って難しいですよね。時間は有限、だから有意義に使わなければと思ってしまう方は多いのではないでしょうか。わたしもその中の一人です。

 

いつのまにか「何もしないこと」ができなくなって、見えていたものが見えなくなって、小さな頃のキラキラを忘れてしまう。そして、何もしないことのときめきを、毎日のワクワクを忘れてしまうと心の森は曇ってしまう。

生きていく上でお金は必要ですし、お金を得るためにはコストがかかります。夢を実現するためには、努力も忍耐も、我慢も必要になります。人生でどの道を選んだとしても、その道にはその道の苦労があります

才能にしても同じことです。生まれつきの才能があることにより、その人に課されるハードルはどんどん高くなります。才能があるから人生得とか、楽とか、そういうことはありません

たしかに「夢はタダじゃない」のです。でも、何かをするだらけの人生ならきっといらない。そう思えるための純粋さと勇気を持っていたいと思わされました。

 

永遠の子ども心とは

大人になることについては上述しましたが、では子ども心ってなんでしょう?

それは「楽しみ方を知っている」ということなのかもしれません。

「時間の楽しい使い道」を知っているということです。

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大変なことも、繰り返される日々に飽きることも、疲れることもあるけれど、自分の子ども心を守っていればきっと大丈夫。やっぱりわたしは、30%くらい子どもでいたいです。

 

プーと大人になった僕』は、忘れそうになっているものを、ふと思い出させ、優しく包み込んでくれる映画でした。

公開日から時間が経ち、上映映画館はなかなかないかもしれません。動画配信サービスでは有料になる可能性が高いと思いますが、『プーと大人になった僕』は有料で観る価値のある映画です。一人でも、家族とでも、恋人とでも楽しめる映画なので、ぜひご覧になってください!

 

2018/11/01 紅葉